喫茶去庵日記8月18日

漸くのこと雨が上がり、陽が差してきました。夏の間は茶室に生けるお花が少なく苦労します。勿論、木槿(ムクゲ)や芙蓉が夏の茶花のメインですし、お花屋さんに頼めばどんな茶花でも手に入りますが、それはそれで正統派で便利ですがとても寂しく感じてしまいます。今年、我が庭ではゆりの花が庭中に沢山咲きました。可憐な笹ゆりでも大きなヤマユリでもなく「鉄砲ゆり」です。余りにも多く咲いたので今日はゆりを床に生けました。鉄砲ゆりは他のゆりと異なり細い葉が互生に沢山ついて何か違う種の植物の様に見えますが、花が咲くと長く白い花が凛として突き出すように咲いて正にゆりの花です。私は知らなかったのですが、日本固有種の鉄砲ゆりがヨーロッパに伝わると、それまで聖母マリヤと天使が描かれている「受胎告知」の絵に描かれている花は白ゆりだったのが、それからこの鉄砲ゆりに置き換わったそうです。凄いですね、それ故、花言葉は聖母マリヤのイメージに由来して「純潔」となったようです。夏の間、花を探して野山に行ってみると、結構いろんな花が咲いています。通常では「雑草」とひとまとめにされてしまうのですが、よく見るととても可愛らしく素敵な花達に出合います。そんな時は一所懸命に図鑑を調べ名前を探し出すことにしています。名前を知ると途端に何か「知り合い」が増えた様に思えて嬉しくなります。今までは何方様ですか?って挨拶もせずに通り過ぎていたのが、急に何年も前から知っていた人達になります。不思議な気がしますね!そんな形で知り合った花達はとても多く、それらをそっと生けてみるととても新鮮で、どなたかに見せたくなってしまいます。今まで私の世界に無かったものが(あったのですが知らなかった)増えたようで、とても得をしたように感じます。そんな花達の夏の代表は、「夏フジ」や「仙人草」、「オカ虎の尾」、「ミソハギ」だったりします。勿論、植物を良くご存じの方は、それらの花に気づくし名前も良く知っていますが、私にとっては前にいったように新鮮な「知り合い」を花入に生けたのです。「夏フジ」は本物の藤と違って白い花で目立たなく何かの木に絡まって愛らしく、さも「名前はありません」みたいに咲いています。小さい白花が藤の様に点々と細く垂れ下がっています。今年は毎朝のウオーキング中に見つけたのが、何とか藤や何とか萩と言うのかなって思う「駒つなぎ」でした。藤の花や萩のような形の小さい花が下に垂れ下がるのではなく上に立って咲いています。ツル性のような茎はとても強く、馬を繋いでおけるようなものから、その名が産まれたのだそうです。一度引っ張ってみようと思いましたが、馬を繋げるほど強いのであれば、私の指が切れてしまわないかと止めにしました。これで「知り合い」がまた、増えました!

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